にきび7つの薬使い分け

今回はニキビ治療初心の方に対して、ニキビ治療の塗り薬、この7つ知っておけば大丈夫!というブログになっています。
いけがき医師
いけがき医師

いままで病院でニキビの治療を始めたことがないひとや、ニキビの治療をしてはいるけど、なんとなく処方された薬を塗っているような方にとって、にきび治療薬の基本となる7つの薬を知ることで自分のその時々の肌の症状にあった薬を理解できるような内容となっております

ニキビとは

まず薬の説明の前にニキビについてなぜできるのかの話をしていきます。

人の皮膚には、もともと常在菌と呼ばれる細菌が存在していますが、ニキビの原因となるアクネ菌も常在菌の一種です。

新陳代謝の低下やホルモンの影響など原因はひとにより様々ですが、症状としては毛穴の入り口に角質がたまり、皮脂が排出されずにつまってしまいます。ニキビは、こうした状態から引き起こされます。アクネ菌は毛穴につまった皮脂などを栄養源に繁殖していき、炎症を起こしてニキビを悪化させます。

そのためニキビのぬり薬は、・炎症を抑える・毛穴のつまりを解消する、この2点の効果があるものとなります。

塗り薬の説明の前に

現在日本の保険診療におけるニキビの薬は、ある程度はどの皮膚科でも処方する薬は決まっています。

こちらは当院で患者さんに対してニキビ治療の説明をする際に使っている簡易的な表となります。この表を見てください。最初の注意点として、ここにある表の薬は先発品のみです。ジェネリック後発品は名前が異なりますので注意してください。

4種類
上からディフェリン(後発品だとアダパレン)、ベピオ、デュアック、エピデュオと4種類あり、ここにあるようにピーリング作用がある薬になります。
ピーリング作用とは、さきほど説明したニキビの原因となる古い角質を除去することで、毛穴のつまりをなくして、ニキビをできにくくする作用の事です。
この4種類の薬には、その毛穴のつまりを改善し、新たなニキビをできにくくする予防効果があるのと、アクネ菌が原因でおきた赤い炎症を抑える2つの効果がある薬になります。
3種類
5~7は抗生剤の薬で、上からダラシン(後発品だとクリンダマイシン)、アクアチム(後発品だとナジフロキサシン)、ゼビアックスです。
これらの抗生物質は、アクネ菌をはじめとした肌に存在する細菌を死滅させることで、炎症を起こしたニキビの進行を抑制させるための薬となります。

薬の違い

全体をまとめると、1から4(ディフェリン、ベピオ、デュアック、エピデュオ)はピーリング作用により新たなニキビの予防効果と赤い炎症のぼつぼつをおさえる薬5~7(ダラシン、アクアチム、ゼビアックス)は赤い炎症のぼつぼつをおさえる薬になります。これを聞くとじゃあ、1から4番の薬が良いという事になると思いますが、1から4番の薬は使用するのに注意が必要です。

ピーリング作用により毛穴以外の皮膚の角質層の細胞もはがれ落とすため、刺激症状が出現します。 カサカサする、ヒリヒリする、カワがむける、化粧水がしみる、赤くなる、かゆくなるといった症状が表れます。ここが難しいところで、ヒリヒリや赤みがでたからといってすぐに中止という事ではなく、使い続けてもらうことによって赤みがひいて平気になる事が多いです。

ただし、アレルギー症状とおもわれる強い赤みやかゆみ、じゅくじゅくした腫れがでたら中止してもらう事があります。その判断は難しく受診してもらった方がいい事が多いです。

1から4(ディフェリン、ベピオ、デュアック、エピデュオ)の薬はみんなこの特徴があります。

あと4種類ありますが、大雑把に言うと3番(デュアック)は2番(ベピオ)と5番(ダラシン)を合わせた薬になります。

4番(エピデュオ)は1番(ディフェリン)と2番(ベピオ)を合わせた薬になります。

要するに1番(ディフェリン)の薬の系統と2番(ベピオ)の系統の薬の2種類あります。

どちらが良いですか?とよく聞かれますが、どちらが良いという事はなく、症状や薬自体の合う合わないもあり総合的に判断します。

2番(ベピオ)や5~7番はローションタイプもあります。体などはローションタイプを処方する事が多いです。

他にもこの表にはないですが、イオウが入った薬などもあります。

注意点

昔は保険診療でニキビを治療する際は、抗生剤を処方するくらいしかありませんでした。

ピーリング作用のある薬を処方できるようになり各段に治療の幅がひろがりました。

注意点1

保険のニキビ治療がうまくいくかどうかは、1から4のピーリング作用のある薬をいかにうまく使っていくかにかかっています。

ニキビ治療のうまくいかない点の一つとして、1から4の薬は肌があれやすく、自分の判断で中止してしまう人が多いという点です。

これは我々医療者の努力が足りない点でありますが、多少あれても使い続けるとだんだん落ち着いてくる事が多いので、使い続けるという認識をもっと普及させていかないといけないです。

 

注意点2

もう1つは、ニキビ治療は根気が必要という事です。

ニキビ治療で受診する患者さんは、少し薬をぬってすぐに良くなるイメージでこられる方が多いですが、ニキビ治療には長期戦です。

そもそも1から4のピーリング作用のある薬は、数か月ぬってみて効果をみていく治療になります。なので、治療期間が長くなります。

塗り方

1から4のピーリング作用のある薬の塗り方ですが、1日1回夜になります。

乾燥が強い場合は、顔を洗い保湿剤を塗った後に薬をぬってください。

胸や背中にもニキビはできることがあります。1(ディフェリン)と4番(エピデュオ)の薬は胸や背中には保険適応はありませんので、2(ベピオ),3番(デュアック)の薬を処方することになります。

ここも注意が必要で、

夜1回ぬる薬ですが、皮膚ではなく下着などの服が脱色してしまう可能性があります。あと、枕カバーも脱色する可能性があります。

抗生剤の違い

いけがき医師
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5~7番の抗生剤ですが、これに関してもどれが一番良いのですか?という質問をよくうけます。

5~7に関しても抗生剤の種類が違うというだけでどれが一番という事はありません。

ただ、ゲルやクリームや軟膏やLOTなどの基材の違いはそれぞれあり、皮疹の状態に応じて使い分けます。

あと、抗生剤は使い続けると耐性菌といって抗生剤が効かない菌が増えてしまいますので、長期で使うより短期間で使う薬になります。

今までが塗り薬の説明でしたが、のみ薬については、抗生剤の内服薬や漢方、ビタミン剤などの処方をします。

今回の薬の説明ですが、ニキビ治療初心者の方向けに、あくまで大雑把にわかりやすく説明したブログになります。

日本には保険制度があり、手ごろにニキビ治療ができます。手軽さゆえというわけではないかもしれませんが薬の副作用などをきちんと理解せずに使い始め、薬があわないんだと勘違いして治療を途中でやめてしまう人が少なくないように感じます。そのような方をひとりでも減らすためにこのブログが役に立っていればと思います。

余談

私の若いころはニキビは青春のシンボルなどと言われ特に男性がニキビを治療するという事はあまりない時代でした。

ですが今はニキビは治療するのが当たり前になり、薬の選択の幅も広がりました。是非医療機関を受診してみてください。当院でも、ニキビ治療の基本は保険がきく治療になります。自費でケミカルピーリングなども行いますが、あくまでも保険治療の効果が悪い人向けになります。

ニキビは病気であり、改善していくためには正しい知識を身に着けていく必要があります。根気のいる治療となりますが、皮膚科で正しい治療を受け健康な肌を取り戻していきましょう!
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